わきがで手術が必要となるのはどんな場合?

アポクリン腺から分泌される汗について

現代の医療で「わきが(腋臭症)」の唯一の根治法は外科手術によってアポクリン腺を摘出する事です。

しかし、ここでアポクリン腺から出る汗にはどんな役割があり、臭いが発生するメカニズムについてもう少し詳しく説明していきましょう。

多くの人にアポクリン腺から出る汗は臭うと誤解されていますが、本来アポクリン腺から出る油分の多い汗もエクリン腺からでる水分主体の汗も無臭です。

ところがエクリン腺から出る汗はさらさらして表皮にとどまらないため細菌が繁殖する前に流れ落ちてしまいます。

一方アポクリン腺から出る汗はベトベトしているので細菌がそこにとどまり繁殖しやすい環境になります。

つまり油分+細菌の繁殖の組み合わせがわきが臭の素となるのです。

ほ乳類の中でもこの二つの汗腺を持っているのを確認出来ているのは人間だけだと言われています。

つまり人間の汗腺はほ乳類の中で最も発達していると考える事ができます。

ところで進化の過程で汗腺が二つに別れたのであればアポクリン腺とエクリン腺にはそれぞれ異なる働きがあるということになります。

アポクリン腺とエクリン腺の働き

アポクリン腺とエクリン腺、この二つの汗腺の中で明確な働きが判明しているのがエクリン腺です。

エクリン腺から出る汗は主に体温調節を担っています。

一方でアポクリン腺の方は非常にミステリアスな存在です。

なぜ油分の多い汗を出すのか?そしてその役割な何なのか?これに関しては諸説存在していて、現在有力視されているのが「種の保存説」と「急所の保護説」です。

アポクリン汗の役割について

  • 種の保存説

動物には異性を惹き付けるために「フェロモン」という臭いを放つ機能があります。

人間の場合は脳が高度に発達しているため発情期というのがほぼ消失してしまいましたが、他の動物にはこのフェロモンの分泌がピークに達した時に発情期を迎えるという周期があることが判明しています。

アポクリン腺は腋の下や乳首の周囲、性器や肛門の周囲など敏感な所に集中しています。

この事からほ乳類のメスは肛門周囲の汗腺からフェロモンを出し、オスの性的興奮を刺激して性器に誘導すると考えられているのです。

またフェロモンは汗のような体表に分泌される体液内で常在菌が繁殖する事で性的興奮を促す臭いを発すると考えられているのでアポクリン腺から出る汗に油分が多く、そこで菌が繁殖しやすい環境を作っているのはその頃の名残ではないかと考えられているのです。

男女とも少数ではありますが「わきが」の臭いで性的興奮を覚える人が居るというのもこの説を裏付ける有力な理由となっています。

  • 急所の保護説

これまでの説明の通り、アポクリン腺は腋の下や乳首の周囲、肛門周囲など特定の場所にのみ存在しています。

そして油分の多い汗を分泌します。

わきがの臭いの原因はこの油分を餌として細菌が繁殖する際の老廃物によるものなのですが、アポクリン腺のこの性質こそが急所を保護しているのではないかというのです。

その根拠となるのがアポクリン腺はストレスを覚えると汗を分泌するという働きをすることにあります。

人の脳はストレスを覚えると全身の血管を収縮させる指令を発します。

こうなると急所の表皮を保護している体毛や粘膜組織、皮膚組織などは血流不足で機能低下を引き起こす可能性が高まります。

腋毛は急所である腋の下を保護している体毛として知られています。

そして体毛は血流障害になるとコシが無くなり弱くなってしまいます。

また粘膜も適度な粘度と湿度を維持出来なくなり肛門や性器はちょっとした刺激で傷つく可能性も出てきます。

こうした状況下で急所を未然に守るためにストレスを感じた時にはアポクリン腺が機能して油分の多い汗を分泌させることでちょうど傷口にワセリンを塗って雑菌の侵入と傷口の拡大を防ぐような働きを担っているのではないかと考えられているのです。

わきがで手術が必要となるのはどんな場合?

「わきが」は細菌の増殖によって起こる悪臭ですが、今のところ悪臭以外の症状は認められていません。

原因菌が異常増殖を起こした場合には毛膿炎を引き起こすこともありますが、その症例はごく僅かです。

このためわきがの手術が必要とされる場合は臭いによって正常な社会生活を送るのが困難と判断された場合になります。




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