中絶とは?

中絶とは?

中絶とは「妊娠が終結し、胎児が死亡すること」と定義されています。

一般的な解釈では人工中絶と解釈されがちですが、本来は「流産」や「死産」も中絶ということになります。

自然な中絶の場合、「流産」と「死産」の境界線は妊娠22週目になります。

つまり妊娠22週目未満の中絶であれば「流産」、それ以降であれば「死産」ということになります。

では、なぜ妊娠22週目が流産と死産の境目になるのかと言えば、この時期になると正常に育った胎児は完全に「人」の姿をしているからになります。

妊娠期間で言えば6ヶ月目にあたりますね。

仮に超早産でこの時期に生まれてしまったとしても適切な処置を施せば赤ちゃんは母体の外でも生きていく事が出来るとされています。

つまり医学的にも法律的にも22週目以降は完全に「人」として見なされるというわけです。

(日本では受精日ではなく、最終月経日を妊娠初日として起算し、妊娠週や妊娠日が計算されます。)

刑法第29条とリプロダクティブ・ライツについて

ここまでが、自然な形での中絶のお話しになります。

冒頭でも述べたように一般的に「中絶」と言う言葉は「人工中絶」を意味する場合に用いられます。

人工(妊娠)中絶とは手術や薬品などを用いて人工的に中絶を起こす処置の事になります。

ただし、簡単に人工中絶を考えてはいけません。

なぜなら、人工中絶は刑法上の罰が科せられるからです。

これは刑法第29条「堕胎の罪」として明確に規定されています。

つまり、日本では宗教上の理由ではなく法律上の理由で人工中絶は認められていないという事になるのです。

しかし、実際に中絶は行なわれています。

そこにはどのような背景が横たわっているのかをこれから説明していきたいと思います。

刑法第29条は「胎児と母体の保護」を目的として制定された法律です。

よく誤解されているのが、妊娠6ヶ月(第22週目)未満だと人工中絶は違法にならないという解釈ですが、これは「医師会の指定する医師が行なう母体保護法第14条に規定する人工中絶は罰せられない」という例外的な措置なので、これ以外の人工中絶は全て違法な行為となります。

では、母体保護法とは一体どんな法律なのかというと、1984年に制定された優生保護法が改訂されて名称も母体保護法へと変更された法律になります。

基本的な理念は、「不良な子孫の出生を防止する」という優生思想に基づいています。

つまり、重度の障害や親の金銭的な都合で十分な子育てが出来ないと強く懸念される場合にはその出生を取り消す事の方が社会性が高いという考えがベースになっているわけです。

ただし、96年に母子保護法へと改訂された際に「配偶者の同意が無ければ中絶出来ない」などの条文が盛り込まれ、安易な性行為による妊娠と中絶を未然に予防するための配慮がなされました。

ところが、この条文に対してリプロダクティブ・ライツの喪失とする意見が噴出し、今も完全に整備された法律とは言えないのが現状のようです。

ちなみにリプロダクティブ・ライツとは女性自身が自分の身体に対する決定を判断出来る権利のことで、母子保護法では配偶者の同意がないと中絶出来ないという条文がこの権利を冒涜する物だという議論が巻き起こっているわけです。

また、胎児の異常が妊娠期間中に簡単に判別出来る検査方法が話題となり、胎児に異常が見つかった場合の中絶の是非も問題視されています。

現在の母子保護法では生前の障害については障害を持った人間の存在を否定する事になりかねないため、中絶の適用は認められておらず、あくまでも母子を巡る状況を医学的に判断して中絶が妥当と判断された場合のみ合法な人工中絶と認められているというのが現状となります。




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